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「なんて大きな鋏を持つカニだろう!」と思われた方、ヤシガニは「カニ」ではありません。
オカヤドカリの仲間で、インド洋から西太平洋の亜熱帯地域に生息する世界最大の陸生甲殻類の一種になります。
とても成長が遅く甲長5cmになるまで6〜8年、約10cm(1kg程)になるまで15年近く、大型(5〜6kg)になるまでには50年以上はかかります。
屋根のあちこちに展示されているヤシガニも推定50歳にもなるといわれています。
これらは平成8〜9年にかけて買い入れたヤシガニで当時の値段でも1㌔あたり2000円〜3000円し、剥製職人の山城氏が手掛けられました。
当時はガラスケースに1個体ずつ、丁寧に保管し展示しておりましたが、平成16年7月に当店1階で発生した火災によってケースは全焼。
しかし!ケース内のヤシガニは運良く命拾いしたため、その存在をアピールするかのように大胆にも屋根に乗り強堅な姿をみせています。
さて、このヤシガニはヤシの実の硬い繊維も切り裂くことが出来る強力な鋏脚を持ちますが、必ずしもヤシの実を食べているわけではなく、口に入るものは腐敗した死肉でも何でも食べる雑食です。
また、銀食器や銅など光るものを持ち去ることから英語では「Robber Crab(泥棒蟹)」(※1)と呼ばれているといいます。
八重山では食用のほか、はく製など装飾品に利用され、古くから人々の暮らしと深く関わっている生物ですが、今、深刻な問題が起こっています。
一昔前まで、ごく普通に観られたヤシガニが今では観光のお客様も珍味として食べる量が増え、更にはペットとしても高値で取引が出来るということで乱獲され減少傾向にあるといいます。
このため環境省ではレッドデータブックで「絶滅危惧Ⅱ種」(※2)に指定されているのですが、実際には乱獲制限や規制ができずに野放しになっているのが現状で、このままではヤシガニが絶滅してしまいます!島にはヤシガニにまつわる話がたくさんあり歌にも登場する馴染みの深い生物です。
ヤシガニを守るだけでなく、その「ヤシガニ文化」も大切に未来へ繋いでいく必要があるのではないでしょうか?決して「捕るな!食べるな!」ということではありません。
ヤシガニの保護育成と有効利用を考えることによって島の亜熱帯自然の維持と保護に繋がること。そして地域特性の豊かな未来が迎えられると信じています。

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